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夢を託す競馬 結果

馬は、一キロから一キロ半重くなるごとに1600から2000メートルでは一馬身遅れ、2200から先では450グラムごとに一馬身を犠牲にしなければならないという経験則からすると、シービスケットが背負うハンデは、完全に常軌を逸していた。
斤量が大きくなればなるほど、怪我の危険も増す。 何回も脚のトラブルに見舞われてきたシービスケットにとって、これはゆゆしき問題だった。
シービスケット以前のトップ馬たちは、たとえば祖父にあたるMのように、多くが高い斤量を回避するべく、まだじゅうぶん走れるうちに引退していた。 逆にイークワポイズやディスカバリーのように、高い斤量でも走りつづけた馬は、いっさいレースに勝てなくなった。
Hは高い斤量を受け入れるつもりでいたが、それも程度問題だった。 「わたしの馬は荷車じゃないんだ」と、59キロを上限に定めた。
シービスケットがその大舞台で勝利すれば、もっと高い斤量でも受け入れよう、とHは言明した。 59キロはすでに、相当の負担だった。
歴史に残る名馬の多くが、その重量に負けて勝利を逸していた。 にもかかわらずHの声明は不評を買い「自分の馬に真の試練を与えようとしないのは意気地がない、スポーツマン精神にもとる」と糾弾したコラムニストも少なくなかった。

この批判は遺恨を残した。 1937年9月、この問題はついに山場を迎えた。
シービスケットはシカゴのホウソーン競馬場のゴールドカップパンデ戦とロードアイランドにあるナラガンセット競馬場のナラガンセットスペシャルの両方にエントリーしていた。 シービスケットに59.9キロの重荷を背負わせるのは本意ではない。
だが斤量を軽くさせたら、批判を浴びるのは目に見えている。 Hは59キロを上限とするルールを破り、ナラガンセットスペシャルでは59.9キロの斤量でシービスケットを走らせると公約した。
レースの前日、豪雨がナラガンセットのトラックを沼地に変えた。 シービスケットは、重馬場にどうしようもなく弱いという定評があった。
その評判は誇張されたものだったが、確かに濡れたトラックでは、走りはいくぶん精彩を欠いた。 Pにいわせると、シービスケットは腹を下げ、細かくすばやい足取りで走るため、重馬場での走りがむずかしくなるとのことだった。
「ほら、J・Dがよく、スナップのきいた書ートパンチを使ってただろ?」とP。 「シービスケットの走りもあれと同じなんだ。
ぬかるんだ地面だと、シービスケットは短いステップを使えない。 重馬場じゃ馬は跳ばなきゃならない。
でも、それはビスケットのスタイルじゃないんだ。

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